末廣、2RKO勝利!
2006.11.29 バンコク・ラジャダムナンスタジアム
10月に練習試合的なニュアンスのものとは言え、タイ人の元タイトルホルダーから判定勝ちを収めた末廣。初の本場のリングでどのような闘いができるか、期待がかかる。
セコンドには「弟子がラジャダムナンのリングに上がる」という「夢のひとつ」が叶った飯村支部長と先日の復帰戦を白星で飾ったばかりの全日本キック・大月晴明さんだ。さすがにやや硬い表情の末廣、相手のワイクーもあまり正視しない。
しかし、ゴングがなってからの立ち上がり、いつもに比べても落ち着いて相手をよく見ながら牽制の前蹴り、インロー、ジャブを突いていく。相手のタイ人は、若干トリッキーな動きだが、あまり圧力を感じない上に、蹴りもさほど伸びない。
飯村支部長はこの序盤で「相手はあまり強くないな」と判断でき、リラックスしたと言う
(逆に言えば、それまでは大分緊張していたのだろう)。末廣の右が押すようにヒットし、スリップダウンするタイ人。1R後半から、早くも飛び肘やバック肘を狙い始める。対する末廣は気持ちに余裕が出てきたか、フェイントからロー、パンチをつないでいく。首相撲になりそうな展開でも、タイ人を余裕で投げ捨てる場面も見られた。
2Rに入ると、タイ人はバック肘などトリック技に逃げ始めるが、コーナーに追い詰めた末廣の右ストレートやボディブローに捕まり、やや戦意も弱まってきたように見える。
最後はボディへの右フェイントから左フック一閃。コーナーで崩れ落ちたタイ人に、レフェリーはノックアウトを宣告し、あっけないフィニッシュに、末廣自身もセコンドも、一瞬呆気にとられていたほどだった。
完勝でバンコクでの初戦を飾った末廣。相手は決して実力者ではなかったとはいえ、アウェイの本場に乗り込んでの試合振りは、確かな成長を感じさせるものだった。
フェイントのかけ方や、パンチの打ち分けなど、これまでの試合とは、確かに違う姿を見られたことは、今後への大きな期待感につながっている。
来年は吉祥寺のエースとして、まずは北斗旗全日本の軽量級を制すること、それも「予選から全試合KOで決める」ことを自身に課している。キックボクシング/ムエタイの戦場でも、さらなる高みを目指していくこととなるだろう。